さぁ、聖杯戦争の始まりだ。


1.観察

ウォッチャーは学校の給水塔の上から眺めていた。
昼間の平和な世界を歪んだ考えとともに
生徒が走り運動場、ざわめく教室…全ての音が彼には聞こえていた。

「全くうるさい世の中になったもんだな」

「確かにそうだな」

いつの間にかウォッチャーの隣に赤い槍を持った青い男が立っていた。
ウォッチャーは軽く顔だけそちらに向けて小さく笑い

「ランサーか、何か用かよ。いよいよ七人目のサーヴァントが現れたとか?」

少し気を抜いたまま他人事のように青い男…ランサーに問い掛けた。
ランサーはウォッチャーの様子に気にもとめずに問われた事には軽く首を横に振り

「いや、サーヴァントはまだ揃ってねぇよ」

「ふ〜ん、まだか……」

小さく溜息をつきながらつまらそうにウォッチャーが呟いた。
つまらそうにしているのに気付いたのかランサーはウォッチャーの頭をわしゃわしゃと撫でた

「まぁ待てばいいんじゃあねぇか。サーヴァントと他にいるんだから遊ぶ位は構わないだろうしな」

言い終われば頭から手を離し、くしゃくしゃになった髪を見ながら少し楽しげな顔をしながら笑った。

「てめぇでくしゃくしゃにしといて笑うんじゃあねぇよっか頭を撫でんな」

睨むようにランサーを見ながら髪を直してしていたウォッチャーが一人の少年を眺めニヤリッと笑った。
ウォッチャーの笑みをみたランサーは背筋に寒気を感じだ。

「どうかしたのか、ガキ何て眺めてよ」

「いやぁ、あいつがなぁってな。まぁいいか、ランサー一つ予言をしてやるよ」

眺めていた少年を指差して説明しようと言葉を発しようとして気分が変わったのか楽しそうな顔をしてニッと笑い「予言」と告げた。

「予言って……楽しくなるやつか?」

「予言」と言う言葉を聞いてランサーの目付きが変わった。

「あぁ、明日の晩にランサーは好敵手と出会える。これは確実だぜ」

クスクスッと楽しげに笑いながらウォッチャーは予言の内容を告げた。
ランサーはへぇと小さく呟けば戦いを楽しむものの笑みを浮かべて立ち上がり

「いいもんが聞けたぜ。じゃあ先に行ってるぜ」

そう言い何処かに消え去っていった。

「忙しい奴」

クックッと笑いながらランサーを見送り、ウォッチャーは再度少年に目を向けた。

「見つけたぜ……。衛宮士郎」




続く
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